古くから私たちに存在する感情である「怒り」は、時にコントロールが難しいものです。
怒らないようにしようと頑張っても、時には捨てられない感情です。
怒りに支配され、決断を下すと非常に大きなダメージを受けるので、怒りを理解し、管理することを学ぶことが重要です。
この記事では、怒りとは何か、怒りが人生にもたらす悪影響、こうした感情に対処する方法、そして本来の自分を取り戻し、怒りに支配されないようにするためのヒントについて説明します。
目次
まずは「怒り」という感情が湧き上がる時を理解する
怒りは、フラストレーション、惨めさ、痛みなどの感情から生じる感情です。
何かが自分の期待やニーズを満たさないとき、脳と身体に起こる物理的な反応です。
私たちが感じる怒りの多くは、次のような思考パターンや感情、状況が怒りを引き起こす主な原因となりますので、自分がどの「原因」で感情が沸き上がりやすいのかを感じながら、読み進めてみてください。
①権利や価値が侵害されたと感じた時
自分や自分が大切に思っている人やものが、不当に扱われたり、嫌なことに対して、心の傷を負わされたと感じ、怒りを感じることがあります。
また、自分の意見や行動が、取るに足らないものと無視をされたり、抑圧されたときに、怒りを感じることがあります。
②期待に違いがある時
自分の期待に違いがあったり、期待通りに相手や物事がいかない時に、そのフラストレーションを収めるために、怒りを感じることがあります。
もっと愛してほしいのに、かまってほしいのに、相手にしてくれないとか、もっと人生が上手く行って当然なのに、全然上手くいかない、と期待が多ければ多いほど、怒りを感じます。
③無意識に疲れやストレスが溜まっている時
自分が意識せず、疲れやストレスがたまり、身体や心がリフレッシュされない場合、心はとても繊細になりがちです。
ただ隣の人が大きな音を立てた、少し何かを指摘された、そうした些細なことがきっかけで、いつもは反応しないことにも反応が強くなりがちになります。
④ストレスフルな環境や人間関係に囲まれている時
ストレスや緊張を引き起こすような環境や人間関係の中で過ごす時も、怒りの感情がどんどん溜まっていきます。
あなたをバカにしてくる人、いじめてくる人、モラハラを平気でしてくる人や、長時間残業が当たり前な環境にいれば、どれだけ穏やかな人でも、感情が強く反応するのは当たり前です。
⑤過去の経験やトラウマを多く抱えている時
過去にトラウマや不快な思い出がある場合、似たような状況に遭遇すると、過去の感情が再現され、怒りが強くなり、コントロール不能になることがあります。
ネガティブな思考に偏ってしまい、どんなにあなたに優しくする人がいても、その思考の枠に囚われてしまい、怒りが出てしまうこともあります。
⑥感情の表現方法や手段が怒りしかない時
街中でも会社組織でも、時々見かけるのは、とにかく「怒りを爆発的に表現すること」で相手に要求したり、自分の意見をいう人たちです。
この人たちは、怒りが習慣化しているので、感情をコントロールすることが困難になり、怒りがコントロール不能になることがあります。
これらは一例であり、個人差もありますが、「怒り」の感情を引き起こす原因となることがあります。
このように、まずは「なぜ自分はこの感情を感じる必要があるのか?」という「原因」を理解することで、冷静に見つめることができ最悪な事態を避けることができます。
次に、より冷静に怒りを見つめていくために、この感情をありのまま表現するとどう悪影響があるのかを、示してまいります。
怒りがもたらす悪影響を理解する
怒りの悪影響は、私たちの生活のさまざまな場面で見られることがあります。
怒りは、ものすごい強いエネルギーがあるため、そのエネルギーが自分の身体や心、周りの人間関係に影響を与えます。
そして、家族、友人、大切な人との関係において、信頼、コミュニケーション、つながりの崩壊につながる可能性があります。
具体的には、このようなことが引き起こされる可能性があります。
①健康上の影響
怒りを抱えると、ストレスホルモンのレベルが上昇し、血圧や心拍数が上昇することがあります。
これにより、心臓病やストレス関連の疾患のリスクが高まる可能性があります。
②心理的な影響
怒りを抱え続けると、抑うつや不安、イライラなどの感情も引き起こすことがあります。
また、自分の感情や行動をコントロールすることが困難になり、自尊心や自信も低下することがあります。
③社会的な影響
怒りを表現すると、他人とのコミュニケーションが困難になり、人間関係を損なうことがあります。
また、余計に他人から非難されたり、批判されたりすることで、自分自身が周囲から孤立し、仕事やプライベートが崩壊する原因にもなります。
このような悪影響を回避するためには、怒りを正しく管理することが重要です。
例えば、カウンセリングなどを通じて感情をコントロールする方法があります。
また、周りの人とのコミュニケーションを円滑にするために、話し合いや相談などをすることも大切です。
ですが、怒りが出るときは自分が思ってもいなかった時だったり、ふと突然沸き上がってきたりと、予期しない時がほとんどだと思います。
ですので、日常でそのような場面が出てきた時の対処法を、まずはお伝えしてまいります。
突然、怒りの感情が出た時に対処するには?
怒りの感情から受ける悪影響を軽減するために、少しずつ健全な対処法を身につけることが大切です。
以下のことを実践していきましょう。
突然の怒りから抜け出すポイント
- まずは「冷静になること」にフォーカスする
- 怒りの対象の人物・物事から一旦離れる
- 深呼吸する(呼吸に意識を向ける)
怒りは通常「6秒間」しか続かないと言われています。
ですので、その間は「冷静になる」ための行動をすることです。
これらを習慣化することで、怒りの感情が沸き上がってきても、少しずつ感情に支配されない自分を作り上げていくことができます。
さらに、日常的に深呼吸をしたり、疲れが溜まっている時は、積極的に休息をとり、リラックスを心がけていくことも重要です。
これらが習慣になってくると、より深く「怒り」の原因を理解することができるようになります。
なぜなら、怒りの根本的には別の感情(例えば不安、悲しみ、恐れ、不満など)が隠れているものだからです。
本当の「感情」に気がつき自分を取り戻していく
怒りをコントロールする最良の方法は
それがどこから来るのか理解することである
ダライ・ラマ
怒りは二次的感情と言われていて、その奥深くに本当にあなたが感じている感情(不安、心配、恐れ、苦しみ、辛さ)などが隠れています。
これを一次的感情と呼びます。
「本当はこの感情を感じていたんだね」と自分を心から理解し寄り添うことで、そもそも怒りで表現せずに、冷静に「言葉」を持って人間的に表現することができるのです。
自分自身をコントロールするためには、心をクリアにして落ち着くために、一旦、一歩引いたところから考えることが必要です。
カウンセリングなどを通じて、冷静に自分を見つめる方法もありますが、ここでは、自分でできる怒りを理解する方法をお伝えいたします。
自分の感情を理解するポイント
- 紙とペンを用意
- 怒りが出てきた出来事を紙に記す
・あの人が〇〇してきてカッとなった
・列に並んでいたのに、割り込みされた
・いきなり怒鳴られて怒鳴り返した - なぜ怒りを感じたのかの「理由」を記す
・自分が大切にされていないように感じて辛かった
・自分がバカにされているように感じて寂しかった
・自分の存在が小さく感じて怖かった - 「3」の裏にどんな「価値観」が自分にあるのかを記す
・私は、人に優しくされるべきだ
・私は、誰よりも尊重されるべきだ
・私の周りはいつも、私を攻撃する世界だ
このように、冷静に感情を見つめていくと、その時どう自分が感じていたのかということ、自分がそう感じる原因となる「価値観」が浮き上がってきます。
一度、言葉に変換してあげると面白いもので、次に同じような場面が起きても、怒りの引き金を認識し、自分の感情や反応に責任を持つことができるようになります。
もちろん、あなたにストレスを与える環境や人間関係を、再評価したり、または距離を置いたり、ストレスレベルを下げるための活動を行うことで、セルフケアを実践することも大切です。
さらに、他人や物事をコントロールすることはできませんが、それら出来事あなたが、どのように反応するかに注目することはできるということを覚えておくことが重要です。
「怒り」という感情をきっかけにして、自分に興味を持ち続けることで、あなたが本当に大切にしたいことや、進みたい環境や関わりたい人間関係も明らかになっていきます。
身体をどこかにぶつけて「痛み」を感じる時、そこには自分を守るための機能があるように、
「怒り」というネガティブな感情を感じる時、そこには自分を深く知るための感情に変化するのです。
その時あなたは、本来の自分自身を取り戻していくことになるでしょう。
まとめ
怒りは古くからある感情で、コントロールするのが難しいものです。
放っておくと身体的・心理的なダメージを与え、人間関係にも支障をきたすことがあります。
怒りを理解し、健全な対処法を身につけることで、自分自身と自分を突き動かす感情を再びコントロールできるようになることが重要です。
怒りを理解し、管理するためのステップを踏むことで、私たちは怒りに人生を支配されることなく、本来の自分を取り戻すことができるのです。
また、怒りは同時に人生に苦しみをもたらす場合があります。
実は、そういった苦しみは私たちが生み出した「幻想」と言われています。
詳しくはこちらの記事でまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
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最後まで読んでくださり、ありがとうございました。